今回ここでお話することは、だいぶ前に記事にしたものと関わるものです。
良かったら、一度この記事を読んでから、読んでみてください。

それでは本題です。
今回も、ゆるーい日記のようなものになので
気楽に読んでみてください。
どうぞ。
〇
先日、昔好きだった人の地元に行く機会があった。
高校生のころ好きだった人だ。
そして、初恋の人だ。
別にわざわざ遠いところまで行く必要は無かったのだけれど
唐突に行ってみたくなってしまった。
実際に行ったことあるのは、自分が高校生の頃と、卒業してからの一回。
あともう一回、行った記憶もあるけれどうまく思い出せない。大して来たこともない場所だ。
そうであるにも関わらず、記憶の中では鮮明さを保ったまま、
当時の感情と一緒に、頭の隅に置かれている。
今更彼の地元に行ったところで、彼に会えるわけではない。
会えたら嬉しい気もするが、あの時好きだった彼はもうどこにもいない。
高校を卒業して、僕の知らない世界で生きるようになった彼は
あの日好きだった、僕の知っている彼ではなくなってしまった。
〇
代々木、だっただろうか。
新宿の駅から少し離れた場所。
駅に向かって歩き出す途中、踏切に差し掛かった。
隣には、大学生になり久々に会った彼。
でも、話がうまく盛り上がらない。
目の前を過ぎる電車にじれったさを覚えながら
頭の中で、今口にできる話題を探した。
一年…二年ぶりだっただろうか。
彼に会った時、高校時代のようにカラオケに行ってみたりもしたが、
当時の感情が蘇ることもなく
期待に裏切られたような気もした。
でも、
「ああ、やっと、吹っ切れたんだ。俺」
と、小さな喪失感と共に
重たいものが、肩から降りた気がした。
こんな風にして、四年以上の片思いに
終わりが訪れた。
踏切があがり、駅にむかって歩きだす。
ああ、もう大丈夫だ。
あんなにも好きだった彼は
もういない。
それ以降、僕は彼に会おうとすることを、やめた。
〇
大学を卒業してから、彼の地元にくるのは
当然、先日が初めてだった。
高校時代の通学路を横目に、
彼が帰っていった改札を、今、自分も抜ける。
高校から帰る時、いつもばいばいしていた場所だ。
ハイタッチしてばいばいするのが、決まりだったっけ。
彼に触れることができた、それだけでひどく嬉しかったのを覚えている。
改札まわりの景色は、あまり変わっていなくてよかった。
彼の地元駅は乗り換えを経ずに行くことができるが、少しばかり遠い。
学生ではなくなった僕にとって、大した距離でもなかったが
当時の僕からすれば、ちょっとした旅行くらいの距離感だったと思う。
30分ほどかけて、彼の地元駅に着く。
駅は工事していて、当時の様相とは異なっていた。
でも駅から見える大きなショッピングモールの景観や
彼と待ち合わせをした場所に、変わりはなかった。
少しだけ。
ほんの少しだけ、
泣きそうになった。
記憶にある景色と、今、目の前にある景色を重ねると
その時抱いていた気持ちまでもが思い出される。
なんでかな。
どうしてこんなに覚えているんだろ。
目の前の景色が、光景が
あの時の感情を思い起こさせるんだ。
昔聴いていた曲を聴いた時、
思わずなつかしさで感傷的な気持ちになることがあると思う。
あれと、似ている。
何か、強烈な感情があった時。
その時見ていたものや、聞いていた音、触れていたもの
それらの記憶に、その強烈な感情が結びつくらしい。
思わず、ため息が出る。
別に悲しくなんてない。
ただ、あんまりにもリアルに
いろんなことが思い出されるから
心が落ち着かない。
誕生日にくれた、メンズ物のアクセサリー。
俺が「欲しいな…」と思わず口にしたお店も、ここにある。
まさか誕生日にくれるとは思わなかったな。
ピカチューの大きなぬいぐるみも、ここのゲーセンで取ってくれたっけ。
ああ、そうだ。この辺で、賑やかな催し物がやってたな。
そういや一回だけ、彼のおうちにも、遊びにいったな。
この辺…この辺で、母親からメールをもらったんだ。
「告白はしない方がいいんじゃないかな。今の関係を大事にした方がいいよ」
って。
〇
今でも、こんなに覚えているのだから
きっと忘れることなんてないのだろう。
今の自分を作り上げた
ルーツのようなものだ。
24歳の自分が、10代のころの恋愛に
ここまで影響され続けているのなんて
少し、馬鹿らしくも思える。
でも自分の生き方を決めてくれたのが、
決めるきっかけをくれたのが
彼だった。
お礼が言いたいな。
会いたい、とは思わないけど。
きっと今日も、どこかで、彼は彼なりに生きている。
だから、自分も、自分の人生を生きればいいや。
あの日の思い出に縛られすぎず、自分の生を。
でもまたいつか、ここに戻ってこよう。
できれば、今の景色がこのまま、
続いていますように。