高校生の頃13 恋愛の話と、打ち明け話

前回の話はこちらから。

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では、続きです。

 

———

久しぶり。

あの時の自分は、今何をしていますか。

元気なら、それでいいけど。

そういえば

あの時の気持ちは

もう、忘れることができましたか。

今でもまだ、よく覚えています。

本当にそれで良かったのか、なんて今でもわからない。

でも、それで良かったのだと

そう思えている。

いつかそうやって、

遠い昔話のように話せる日がくる。

 

———

目次

打ち明け話

打ち明け話をされると、自分も何か、そういう話をしてしまう。

ちょっとした秘め事を共有したような感覚になれて、

相手とは、少し距離が縮まるような感覚になる。

恋バナ

この日はいつもみたく、放課後にみんなでカラオケに行った。

授業も部活動も早めに終わる日で、時間的に少しゆとりがあったためだ。

彼と、Tと一緒にカラオケに行き、2時間程過ごした。

彼はこの後塾に行くと言うことで、そのまま解散。

Tと二人で軽くご飯にすることにした。

駅に向かう途中、丁度いいところがなく、結局マックに行くことに。

高校生からすると、ここが一番入りやすい場所だった。

この後の予定は二人ともない。

家に帰るだけの二人にとって、時間を潰すには丁度良かった。

話は普段あまりしないような、恋愛の話になった。

普段は避けてしまうようなこんな話題でも、T相手ならあまり抵抗がなかった。

自分から話ができた。

 

「俺な、入学してから2回告白されたんだけど、どっちも振っちゃったんだよね。」

「そうなの?俺も夏に一ヶ月だけ彼女いたんだよね。」

「まじ?」

 

Tは、ほぼ誰も知らないような話をしてくれた。

 

「夏に少しだけ付き合ってた。部内で、周りから急かされて、流れで。付き合ったけど、結局一ヶ月。」

「前半は良かったけど、後半段々としんどくなった。別れよって言うまでが本当に辛かった。」

 

「この話、俺の地元の幼馴染しか知らないんだよね。これで二人目。内緒にしてね。」

 

こんな風に打ち明けてくれた。

自分を選んで、話してくれたことが嬉しかった。

 

 

こんな風に打ち明けてくれたら、自分もなんだか話たくなってしまった。

Tのことを自分に話してくれた。ほぼ誰にもしていないような話を、自分に。

それだったら自分のこともTに知ってもらいたくなった。

入学してからこれまで、自分が沢山悩んできたこと。

精神的に不安定だったこと。

そのことを、自分も打ち明けた。

 

「もしかすると、Tが不快に思うような話かもしれない。それでも平気?」

「大丈夫」

「俺、男の子も好きになるんだよね」

 

 

ここから、いろんな話をした。

自分の過去の話も。

そこで突然、Tが指に触れてきた。

 

「じゃあさ、俺とこんな風に手絡めたりしたら、意識とかするの?」

「いや、まぁ友達同士のスキンシップとか、そういうのは慣れてるから、、」

 

正直言ってしまえば、意識しないことはないけど。

 

「大丈夫。自分の中でのなつきは変わらないよ。」

 

 

こんな風に面と向かって、誰かに伝えるのは初めてだった。

でも、本当に自然に話すことができた。

2時間くらいマックにいたのかな。大分長居をした。

 

マックから出て、駅に向かう途中、

「ねね、これ食べて行こうよ」

と誘ってくれて、たい焼き屋さんに来た。

ひとつを、二人で半分こ。

お金は出してくれた。

彼なりの気持ちだったんだと思う。

 

彼の秘密を聞いて、自分も打ち明けた。

前よりも、Tとの距離が近づいた気がする。

ただの友達として、であったとしても

嬉しかった。

 

 

その裏腹に。

その日の夜、うちに帰って、

泣いてしまった。

カミングアウトした心労からなのか分からない。

でも心の中がいっぱいいっぱいになってしまって、

我慢できる余裕がなかった。

きっと自分もTと同じように

普通でありたかったのかもしれない。

 

カミングアウトすることで、自分は目の前の友達とは違うんだ、ということを

意図せず強く認識してしまった。

加えてTとの関係についても、なんだかモヤモヤするところがあったのだと思う。

 

恋心では無かった。けれど、これまで色々と意識させられたことがあったのも事実だ。

恋愛感情として好きな人ではなかったけど、それとは違う意味で、

(もしかすると、近しい意味で、だったのかもしれないけれど)

Tのことが好きだった。

 

自分は普通にはなれない。

近くにいたいと思う相手であっても、根本的にその人たちと自分は違う。

独りなんだと思った。

そしてこれから先、きっとみんな自分とは違う将来を歩んでいく。

 

—-

好きとは何かもわからず、普通の幸せに縋る。

言葉にできない感情に戸惑いつつ、気持ちが溢れて、

目の前が見えなくなる。

自分のことが受け入れられるまで、時間がかかるのも

仕方がなかったのかもしれない。

 

 

続きはこちらから。

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