高校生の頃14 告白と、打ち明け話

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では、続きです。

 

———-

久しぶり。

あの時の自分は、今何をしていますか。

元気なら、それでいいけど。

そういえば

あの時の気持ちは

もう、忘れることができましたか。

今でもまだ、よく覚えています。

本当にそれで良かったのか、なんて今でもわからない。

でも、それで良かったのだと

そう思えている。

いつかそうやって、

遠い昔話のように話せる日がくる。

 

だからきっと

好きだなんて、言わなくて

良かったんだと思う。

 

目次

もう一つの打ち明け話 

あやふやなままにするのが良かったりする。

それが上手な人だった。

もちろん、真面目に話を聞いてはくれた。

けれど、必要以上に深刻に受け止めることはなく、

ただ淡々と、白黒つける必要のないものはそのままにしておける

飄々とした人だった。

告白

告白なんて、はなからするつもりはなかった。

と言うより、結果はもうわかっていて、

どこかで諦めがついていたのかもしれない。

自分の気持ちを伝えるのか、それともそのまま隠して

曖昧なままに、さよならをするのか。

だったら今のまま、この関係が壊れないままに

卒業してしまった方がいいんじゃないか。

結論なんて見ない方がいい。

そのほうが、夢に縋っていられる。

恋バナと性欲

Tに打ち明けてから、3ヶ月程たったころ。

この年の12月、確か2013年のこと。

初恋相手に、自分は同性も恋愛対象になることを伝えた。

この日、彼は部活がなかったので一緒に帰ることとなった。

時間があったため、通学路にできた新しいファミレスに。

学校は、繁華街を抜けた先にあったために

駅に向かう前までの道中、ご飯や遊びには困ることがなかった。

普通に注文をした後、取り留めのない話をし、そこから珍しく、恋愛の話に。

彼とはあまり恋愛の話をすることがなかったが、この日はそういう話になった。

「ゲイとホモの意味ってどう違うん?」

正直自分もあまりよく分かっていなかったがこんな話題になり、

流れでセクシュアリティと呼ばれるものについて触れることもあった。

「実際、性欲とかあるの?なさそうだけど笑」

なんとなしに聞いてみた。

「んー、あんまりないかもなぁ」

とのこと。

彼から性にまつわる話を聞いたことがなかったから、

以前から薄々、そんなことだろうとは思っていた。

飄々としているような彼だ。

恋バナにも入るようなタイプでもなかったし、そういった意味で他の人とは違って見えた。

周囲に流されない、そんな雰囲気。

そういうところも彼の魅力だったのかもしれない。

 

ちょっとした安堵感があった。

彼も彼で、多分他の人と違う。そんな意味で言えば自分と同じだった。

(だからこそ、少しだけ期待もしてしまった。)

 

ここまで話を聞いて、自分のこともその流れに乗せて、伝えた。

入学してからずっと、このことで悩んでいる。

自分が落ち込んでいるように見えるのは、大体がこれが原因だよ。

そんな風に。

 

「えー!そうなのか!」

彼にしては、珍しく驚いていた。

 

「女の子どうしならなんだか可愛げあるけど、男の子同士ってなんだかごついな笑」

「ごついとか言うなよ笑」

「女の子同士はなんか小鳥ちゃんみたい」

「小鳥ちゃんってどう言うこと笑」

 

やっぱり、彼はどこか変だ。

例え方というか、言葉選びというか。不思議な捉え方をする。

 

「俺が女の子だったら、多分どっちの性別もいけるんだろうなぁ」

そんなことも言っていた。

打ち明けた後

理解があるようで、その辺りは安心した。

というより、話しても平気だろうな、というのは最初から思っていた。

飄々としている彼だ。

物事に対し、自分の評価を強く突きつけるような人ではない。

気持ち悪い、なんて言わない。

逆に強く肯定もしない。

自分と他者間の線引きができている。大人だなと、感じた。

かえってそれが少し、寂しくもあった。

 

この打ち明け話の後、特に変わりはなかった。

自分のことを話しても変わらず、自分と接してくれる。

嬉しいことではあるけれど、好きだって気持ちはまだ伝えていない。

 

いつも通り学校で彼に会う。

他愛の無い話をしたりして一日が終わる。その繰り返し。

 

冬はイベントが沢山ある。

その一つでもいい、彼と過ごしてみたかった。

結局、どこにも行けなかったんだけどね。

 

何も変わることはなかった。

けど、今思えば、変わらないのが一番よかったのかもしれない。

煮え切らない思いがありつつも

変わらない毎日を、その後も過ごした。

 

 

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