初夢ってのがあるらしい。
割と多くの人が、1月1日に自覚した夢を初夢と思っているらしいけど、
実際はそうではない。
1月1日に就寝し、1月2日に目が覚める。この時見た夢が
初夢というのだ。
まぁ、そんなことはどうでもよくって
なんとなく思い出したことがあったから、
昔話として、ここにつらつら書いていこうと思う。
〇
「夢」とは自由でいいものだ。
都合よく現実から逃避できるし、
時に自分の欲望が、具体的なものとして現れることもある。
高校生の自分にとっては、性もその一つで
よく好きな人と、夢の中で「そういうこと」をしていた。
これは一重に自分の妄想と、あわよくば、という取り留めもない欲望なんだけれども、
もし、あの日あの時、
当時好きだった人と「そういう」関係になっていたら、
どんな風になっていたのかな。
自分の過去に「もし」なんてものは存在しないから
きっとこれは妄想に留まって、霧散して消えていくに違いない。
霧散してしまっては勿体ない気がして
こうして文字におこし拙いながらも形を与え、
半永久的に残るであろうネットの世界に放り投げてみる。
そんな試みを、見てくれる人はきっと、
僕にとって神様のような人だ。
だって、こんなにもくだらない
赤の他人の、「妄想」のお話なんだから。
〇
「隠し事」
なんて淫靡なものだろう。
たった一人で抱えるそれは、鉛のように重たく響くものなのに
二人でそれを共有した途端、「淫美」なものに変わる。
休み時間の賑やかな声や音が、遠くから聞こえる。
たった20分の間で、満足にできるものでもないけれど。
校舎の中で、比較的人がこないトイレの個室の中で
「内緒だよ」という声が、幼い耳を刺激する。
きっと君は、いたずらな表情を浮かべているんだろうな。
でも、まじまじとその顔を見ることが叶わないくらい
近くに君はいるんだ。
常識と非常識は紙一重だ。
プラトニックな掟を破った僕らは
二人、隠し事をした。
〇
こんな出来事の続きを描くことが難しくて
初めて、「ああ、そうか」と
現実を見る。
そして好きだった人が「おはよ!」なんて、
あまりに普通に声をかけてくるものだから
ちょっと笑えてしまう。
「今日、夢にお前出てきたわ。笑」
「えwどんな??笑」
僕は「君との、そういう夢」を見たんだよ。なんて言えずに、
意地悪に、誤魔化し笑ってみせた。
あーあ。もし本当に、そんな関係になれたのならいいのに。
朝、わずかな時間で見た夢のせいで、
一日、気持ちが上の空だ。
きっと誰かを好きになることって、こういうことなのだろうな。
〇
もし、あの時本当にそういう関係になっていたら、と思うこともなくはない。
当時はもちろん、強い願望として持っていた気持ちだが、
今となっては、単純な、興味の一つだ。
けど、「そういう関係」に、ならなくてよかったのかもしれない。
だって、そのおかげで、今こんな風に昔のことが
文章として描けているのだから。
もしあの時、身体の関係でも、心の関係でも
現実よりも近しいものになっていたら
もちろん当時の自分にとっては幸せかもしれない。
でも、きっとそこから見える世界は、「つまらない」だろう。
何事も、世界が終わるかのように、大げさにとらえてしまうのが
思春期だった当時の自分だ。
高校時代が平凡に終わっては、
今の自分は、もっとつまらない人間になっていたと思う。
「初夢」と聞いて、思い出したのが
昔たまに見ていた「好きな人との、性的な夢」でした。
皆さんはどんな夢を見ましたか?
今年も、いい一年になりますように。
あけましておめでとう。
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