カミングアウト経験談②両親へ 後編

こんにちは。男の子が好きな男の子なつきです!

普段はLGBTQ当事者として思ったことや、高校時代のことを振り返る記事を書いています。

さて、今回はカミングアウト第二回「両親へ」後編です。

僕が両親に打ち明けた時のことの続きを書いていきます!

前編、後編の二本です。前編をお読みでない方はこちらから!

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それでは後編です。どうぞ。



目次

両親の反応 

両親の反応は、思いがけないものだった。旅行中メールが来た。

「帰ったら、話そう」

そこには驚きや呆れと至った、自分が予期していた感情はなかった。

非常に淡々とした、いつもとかわらない文面だった。

旅行から帰り、家につく。

「ふーっ…」っと息をはき、玄関を開けた。

母が迎えてくれた。

「手紙、ありがとう。」

自室にはいり、母が口を開いた。

「やっとなつのこと、知れた。だから、うれしかったよ。」

母の顔がみれない。少しの間があり、母が話をつづけた。

「私ね、なつが学校の話を全然してくれないから、何もわからなかったんだ。

どうして予備校嫌なのかなー。携帯使いすぎるのもなんでだろう。

遅れた反抗期かなって思ってた。

家で何度も泣いてたんだね。気づけなくてごめんね。

小学校の時も、脱水起こしてふらふらになって家帰ってきたよね。

先生にも相談していいのに、なつはしんどくなるまで我慢しちゃう。

なつは昔から我慢強いんだから…。

でも、こうやって話してくれたから、やっと全部わかったよ。

うれしかった。学校の話をしない理由も、全部。

つらかったよね。苦しかったよね…でも、死なないでくれてありがとう。

生きててくれて、ありがとう。

なつ、よく頑張ったね。」

母の顔が見れなかった。

親の前で泣くのは、恥ずかしくて、顔があげられなかったから。

誰かに泣き顔を見せたのはいつぶりだろう。

初めて気づいた。ずっと、誰かの前で泣くことができていなかった。

「好きな子、k.tくんでしょ?彼優しそうだもんね。」

「…昔から、なんとなく、なつはそういう子なのかなって、実は思ってたんだ。

幼稚園の時から、女の子と遊ぶことが多かったからね。

でも、小学校にはいってから好きな女の子できてたし…笑

でも、なつはどんな子になってもいいって思ってたんだよ。

うちの子はうちの子だからって。」

「あと…子供や家族のこと、気にしなくていいよ。

孫の顔は見せても見せなくてもいい。

それにね、家族をもつことだけが幸せじゃないよ。

ママの友達にも、結婚せずに幸せにしている人だっている。

だから、なつはなつの幸せを見つけてほしいな。

そのためなら、ママもパパも手伝うし、なつの幸せが、私たちの幸せだから。」

こんな風に言われるとは、思わなかった。

親ならば、息子の結婚式に参加したい。

孫の顔を見たい。

それが「普通」で、そうなることが自分の「幸せ」でもあると思っていた。

でも、違った。

僕の両親は、まだ見ぬ孫の顔なんかよりも、僕の、僕らしい「幸せ」を、ずっと考えてくれていたんだ。

そして、こんなにも簡単に、断言した。

僕の「幸せ」が、私たちの「幸せ」であると。

 

世の中にはいろんな「親」がいる。

孫の顔を望む人、自分の子供でさえ、受け入れない人…。

そして自分の両親も、そのうちの一人だとばかり思っていた。

でもこの瞬間、僕の中の「普通」は180度変わった。

初めて自分ではない誰かに、僕という存在を、無条件に認められた。

幸せは、人の数だけある。

そう母は教えてくれた。

初めから母の中に、僕の思う「普通」は存在しなかったのだ。

 

父とも、母との話の後に話した。

父は母とは違い、長々と話をすることはなかった。

しかし言葉数は少なくても、母と同じくらい僕の幸せを想う気持ちが伝わってきた。

父も母も、思いつめた顔はしていなかった。

むしろ穏やかな、安心したような顔だったと思う。

その時なぜか、久しぶりに両親の顔を、ちゃんと見れたような気がした。

 

母のこと

母は、他人に対してサバサバしたような人だ。

他人に執着することはなく、「人は人、私は私」というような意思が、はっきりと見えるような人だ。

でも一方で、自分のことや家族のことになると神経質で、心配性なところがある。

母は学生のころ、美術系の学校に通っていた。

父との出会いはその学校だったらしい。

母の友達に、その学校の先生を好きになってしまった人がいた。
友達は先生のことを慕っていたらしいのだが、先生はパリに飛ぶことになった。

当時友達は、そのまま先生についていき、パリでアシスタントをするようになった。

母も、友達と先生を尋ねるため、パリへ何度か向かった。

そこで分かったことらしいのだが、先生はゲイだったようだ。

先生の邸宅へ挨拶に向かった際、先生は男性のフランス人と、同棲していた。

先生は後、エイズで亡くなった。

もう何十年も前だ。当時は感染症で亡くなる同性愛者が多かったと、母から聞いた。

母は昔から世界に飛び回る人だった。

旅先で友達を作り、文通をするような人だった。

こうした経験が、母の背後にはある。

きっといろんな人と出会い、価値観の相違を乗り越えてきたのかもしれない。

自分の知らない人と出会い、母の中に無かったものに、たくさん触れていったのだと思う。

それが、僕の母を作り上げたものだった。

それは、机に向かい勉強するだけでは身につかない。

一昼夜では得られず、自分の足で得るものだった。

故に、僕のことも容易に受け入れることができたのかもしれない。

そして幸せの形が無限であることも、僕に教えることができた。

嫌いだった母を見る目が、変わった。

小さな世界で生き、そこでの「普通」に染まってしまっていた僕に、たくさんの可能性の存在を、見せてくれた。

いろんな世界をみてきた母だからこそ、できたことだった。

こんな人に自分もなりたい。

そう心から、憧れた。

 

エピローグ 名前のこと

僕の名前は非常にシンプルだ。名前の由来は、「夏に生まれたから。」

あまりにもシンプルすぎて「え、それだけかよ笑」と思ってしまうほどだったが、僕は自分の名前が大好きだ。

そこには父の思いがあった。

「生まれてきてすぐの子供に、大きな期待をのせるのはかわいそうじゃないか。

だから、名前に親の期待なんかあれこれのせず、シンプルにしよう。」

そんな思いだ。

この話を聞いてから、一層自分の名前が好きになった。

この名前は、両親の優しさと、謙虚さの現れだった。

孫の顔と同様に、親は自分の子供にいろんなものを期待する。

「親孝行」という名目だ。

「今まで育ててきてやったんだから」と思う人もいるだろう。

僕の両親には、それが感じられなかった。

時折、「家にお金いれてー笑」とは言われつつも、「親孝行しろ」とは言われたことがない。

自分が息子にしてきたことへの見返りを求めず、一貫して謙虚である姿勢。

本当に、僕の幸せだけを求めてくれているんだな、と感じる。

それが名前からも強く、伝わってくるのだ。

こんな姿勢が、本当にかっこいいと思った。父のようにもなりたいと、思うほどに。

 

自分のことを打ち明けてから、両親に対する見方が変わった。

そして自分の中にある価値観も大きく変化したのだ。

それは、まさしく自分の両親のおかげであり、非常に感謝している。

今の自分があるのは、まぎれもなく、あの時の両親のおかげだ。

大嫌いだった両親も、今では大好きだ。

尊敬する人は誰か、という問いに間違いなく、両親と答えられる。

両親のようになりたい。

できるなら、それ以上に。

このカミングアウトは、「親の背中ってこんなに大きいんだ」と感じ、僕の人生の転機にもなった経験だ。

こんなにもかっこよくて、なおかつ自分を愛してくれている人がいる。

そのことが分かったとたん、僕の中に長く存在していた自殺思念は、あの日消えてなくなった。

 

僕は今、幸せになるための努力をしている。

それが、僕の両親にとっての幸せになるからだ。

もちろん、今僕は幸せだ。でも、もっと幸せになって、両親を幸せにしたい。

そのための努力なら、いくらでもできる。

 

僕は絶対、幸せになる。

それが、僕が自分でしたいと思った、僕なりの、「親孝行」だから。

 

最後に。

ここまで記事をお読みいただき、ありがとうございました!

今回文章にした内容は、自分の転機ともなった経験を、そのままに書き起こしたものです。

セクシュアルマイノリティ当時者にとって、両親へのカミングアウトは大きな「壁」に成り得るものと考えます。

両親には両親の価値観がありますし、それは否定できません。

そのため、難しいところです。

でも、誰しも胸をはり、「自分はこういう人間なんだ!」

自信を持って、できるならそんな自分を誇りをもって、

打ち明けられる日が来るといいなって

そんな風に思います。

余談ですが……

カミングアウトの記事をたくさん挙げています!

僕個人の経験ではありますが、もしよければ読んでみてください!

カミングアウト ①バイト先で 前編

カミングアウト ③親友へ

それから!インスタもやってます!よければ覗いてみてくださいね。

https://www.instagram.com/natsu.tsu.ki/?igshid=1vtv40lxgzat3

以上!また別の記事で!

ばばい!

 

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