プレゼント 高校生の頃②

今回も、先週と同じく高校時代の事を書いていきます。
前回からの続きになっています。まだの方はこちらからどうぞ。

夏、帰り道とデート 高校生の頃①

では続きです。




誕生日に誰かからプレゼントなんて、もらったことがなかった。

両親は毎年お祝いしてくれるのだけれど、高校生にもなった僕へのプレゼントは、現金になった。
もちろん、現金は自分で好きなものに使えるから悪くない。毎年ちょっとしたかわいい封筒に、手書きで「夏へ お誕生日おめでとう」と書いてくれる。

これといって何かが欲しいというわけでもなかったので、現金はかえって嬉しかった。

幼少期から、誕生日を両親以外にお祝いされた記憶がない。誰かのおうちでパーティをするわけでもなく、家族で過ごすのが、僕の家の普通だった。

そんな中、僕は高校生になって初めて、誰かにプレゼントをもらった。
それは当時好きだった人からもらった、アクセサリーだった。

首からさげるもので、いわゆるネックレスとも言うのだろうか。アパレルショップのメンズコーナーにならぶものだった。

自分のすぐうしろで、がさがさと音がする。自分の鞄を漁っているのは分かるのだが、何をしているのだろうか…

としやのいつものいたずらが始まった。あえて何も言わずに、触れないでおこうと思った。

いつも変なことをして、僕の反応を楽しんでいる。

にやにやする彼がかわいらしい。だからその「変なこと」にも許せてしまう自分がいる。
彼は体格がいい。しかし僕よりも身長は低い上にちょろちょろと僕の周りを動き回るのだから、小動物か何かなのかと思った。
今日も彼は元気だ。

鞄をいじり終わる彼を黙って見ていると、僕の反応欲しさに煽ってくる。

「なつきさんは女の子でいじられ役のドMさんですからね!笑」

彼の中で僕は、いじられ役でMで、それでいて何故か女の子だった。

 

この日はいつものように、仲のいいメンバーでカラオケに来ていた。週末休みが合えば、7時間ほどカラオケに籠る。遊びに行く先はいつも決まっていた。

5人か4人でカラオケに行く。ともすると、自分の番が来るまで少し時間があった。その間、決まって彼は僕の隣にきた。

そして、黙って膝の上に座ってきたり、時には膝の上に寝てきたり、加えて手までも握ってくる。

彼は平気でそれをやってのけるのだ。

いつものように僕の隣にきては、靴を脱ぎ、僕の膝を枕にし横になった。

 

熱と匂いが、すぐ近くに感じられる。

呼吸をするたびに、少し体が膨らんでは、縮む。

そして握った手から、静かに脈が伝わってくる。

いつも、会いたいと思い探してしまうような人が、ここにいる。

時折指に力が入り、強く握りそうになるのを、我慢した。

こうやって、わずかに彼の温度に触れるのだけは、許してもらえないだろうか。

これ以上、先に行ってしまわないようにと願う自分を尻目に、彼は穏やかな顔で僕に笑いかけた。

彼を上から見続けるのも気まずいから、そっと顔を挙げた。

友達はまだ歌っている。次は何を歌おうかな。

彼に触れられている時間が、僕は好きだった。

なんで好きだったかはうまく言えない。

でも、好きな人と触れていられることがとても幸せなことなんだと、この時初めて知った。

誰かとハグをすると、ストレスが減るとかなんとか、聞いたことがあるけれど。

これもその一つなのかな。

彼と僕の絡みは、周りがそれを黙認するほどにまでになっていた。

家につき、自室で一息つく。こんな日は、気分も落ち込むことがなく、穏やかな気持ちでいれた。

としやからのメールに気付く。そこには、「かばんの中にプレゼントがあるよ!誕生日おめでとう!」と書いてあった。

あー…昼間のあれはこれか。鞄をあけると、すこししわくちゃになった袋の中にまた小さい小包があった。

それを空けると、メンズ用のネックレスが入っていた。

「これ……」

こないだ、としやの地元で遊んだ時、一緒に見たネックレスだった。

ショッピングモールの中の、とあるお店に行ったとき、高校生にしては少し値が張ると思ったあのネックレスだ。

僕が欲しいと口にしたのを、覚えていてくれたのだ。

ぎゅっと、ネックレスを握り、胸に当てる。

 

僕が初めて、両親以外の誰かからもらったプレゼントは、

好きな人からもらった、ネックレスだった。

 

次回の記事はこちら。

修学旅行と図書館 高校生の頃③

  



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