25歳の散らし書き。

頭に浮かぶ、取り留めのないものたち。

ここはその墓場。

目次

プロローグ  煙草と悪友

もう何年も前のこと。

タバコを咥えながら、彼はこういった。

「これも、自分の体を傷つける手段なんだよ。」

昔死にたがりだった自分が、同じく死にたがりだった友人に、学生時代聞いた言葉。

「…吸う?」
「いらねーよ」

その時は鼻で笑って、断った。

……

最近、初めてタバコを吸った。

そして生まれて三本目のタバコを吸った後、不意にこの言葉を思い出した。

齢25の自分が火の付け方にも慣れずあたふたしてる格好は、かなり滑稽だった。

ようやくそれを吸い慣れた頃に、学生時代のそれが頭をよぎった。

何となく、あいつの言ってたことが分かった気がする。

ただそれに依存しているんじゃなくて、もっといろんなもの……
いろんな動機があって、吸ってるんだろうな。

それが彼の場合、自傷だったわけだ。

今思えば、一緒に付き合ってやってもよかったのかもしれない。

一緒に自分の体を傷つけ合うなんて、何だか悪友になれたような感じがするし、どこか官能的だ。

……そういえば、俺に初めてタバコをくれた人も同じようなことを言ってたな。

みんな何かに縋って、同じように生きてる。

まぁきっとそんな大層なこと、常に考えて吸ってるわけでもないけれど。

 

僕は多分、一人じゃ吸わない。
でも、誰かの悪友になれるのなら、喜んで。

好きな人

横浜駅で見かけたあの人が
昔好きだった人に似ていた。

背丈と雰囲気。
なんでだろ。誰かと楽しそうに歌ってる。

その歌声までもが似ていて
思わず立ち止まって、
泣きそうになった。

その人を、可愛いと、思ってしまった。

片思いも両思いも
別れも喪失も経験して

大人になれたはずの自分だった。

でも結局、自分が惹かれてしまうのは、いつも同じような人。

自分が好きになる人には、高校時代好きだったあの人と、そっくりな部分があって

何年経っても、好みは変えられないんだなって思った。

背丈は自分と同じか少し低い。
でもちょっと体格が良くて
骨格がサッカー部みたいな感じ。
見た目と歳のわりに、喋り方があどけなくて
掴みどころがない人。

待ち合わせの場所で
柱の裏に隠れていたり
突然走り出したり。
唐突に目隠ししてきたり。

にやにやしながら変なことをする、子供みたいな人。
彼の小さな遊びに笑って付き合ってあげるのが、好きだった。

でもその反面、好きなこと……部活のことになれば真面目で、すごく上手で、すごくかっこよかった。

元彼もそうだったな。
ため息が出るくらい、初恋相手に似ているんだ。

別に、過去のことを引きずっているわけではない。
これまでの恋人が、初恋相手代わりと言うつもりもない。

ただ、自分の生き方を決めたあの人の存在があまりに大きくて、その人を思い出す度に、いつも酷く感傷的になる。

高校時代を送った場所だけに、余計に色々、思い出してしまう。

 

「いつもな、お前と似たような人を好きになるんだよ。」

 

なんて本人に言ったら、どんな顔をするのかな。

笑ってくれるかな。

 

もう何も、届くはずないけど。

繰り返し

誰かを好きになって、嬉しくなって辛くなる。
誰かと付き合って満たされる。
誰かを好きではなくなって、寂しくなって、
誰かのために生きられない自分が、許せなくなる。
誰かを失って、喪失感でいっぱいになって

そしてまた、
誰かを好きになれる自由と、不安を感じる。

一通り経験したはずなのに

何度繰り返しても慣れないね。

でも、もしまた「最初」に戻るのなら

その時は違う結末が見てみたい。

実感

人は、感情が動いた瞬間しか、記憶に残らないらしい。

どこかの本で読んだ。

自分の感情が波打つその瞬間、人は自分の感情を強く認識する。

逆を言えば、感情が大きく動かないその間は、後々の記憶にも残らない。

「今までの人生、何があった?」なんて自分に聞いてみる。

「学生時代、何があった?」とも。

漠然とはしているけれど、きっと、自分の中で心が動かされた経験ばかりが思い浮かぶ。

そう考えると「平凡」なんてものは、後々の記憶にも残らない。

平凡じゃ、何に対しても感動できない。

だから、どうして平凡なんてものが美化されるのかよく分からない。

ここは、人によって捉え方が違うのだろうけれど。

 

少なくとも自分は、「今まで何があった?」という問いに対し

たくさんことを、笑って話せるような生き方がしたい。

生きる実感とか大層なことはよく分からないけど、そういうことだと思う。

エピローグ 創作・夜更け前、ベッドの上で。

この記事の最後に、だいぶ前に書いた作り話を。

作者が経験していないことなんて書けるはずがない、なんて言う人もいますけどね。

……

人と人の繋がりって、タイミングなんだと思う。

タイミングと、その人との相性、その他諸々。
それらが全部一致して初めて、きっと大切な人とやらになるんだろうな。

そして悲しいことに、大半の人とは、それが一致することがない。
極、一握りなんだ。

「この人は、どうして僕にキスをしているのだろう。」

「僕にとってのこの人は、この人にとっての僕は、一体何なんだろう。」

そんな考えても仕方ない事ばかりが、頭に浮かぶ。

“今楽しければいいんだ“

なんて言ってしまうのは、一時の享楽に溺れるようで好きになれない。

けれど、答えなんてない。

悩んで苦しむだけ、無駄のようにも思えるんだ。

そんなことを、全部が終わった後に、語り合えたらいい。

そうやって何かを共有しない限り、君とは一緒にいられない気がする。

でも、今だけはいいや。

 

口と口の隙間から漏れる息の音が、耳に流れ込む。

今聞こえた吐息は、誰のものだろう。

そんなのも分からなくなるくらいに、

僕の意識が、揺蕩ってしまえばいいんだ。

 

そういうのも、悪くないよな。

 

 

 

 

 

 

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